除雪機のメンテナンス方法
雪が降る季節だけ活躍する除雪機は、車やバイクと違いシーズンオフは半年以上エンジンを回さずに納屋や倉庫に保管されています。
こまめに点検、メンテナンスをしないと、いざ使おうしたときに動かなかったり、誤作動を起こして事故になったりと、大なり小なり何かしらのトラブルになることが多いのです。除雪機に関連する事故やトラブルの約80%が点検、メンテナンス不足が原因だと言われています。
除雪時期(シーズンオン)にになると、修理依頼が一斉に来るため対応できないというお店も多いようです。そして一番売れるのも冬前だそうです。ちゃんと点検、メンテナンスしていれば5年、10年と問題なく稼働しますし、車やバイクのように買い替えするようなものでもありません。
なのに冬前に一番売れる理由は冬に向けて動作点検したら「エンジンがかからない」「ローダー動かない」「異音がする」など何らかのトラブルがあって修理依頼しても雪かきの時期に間に合わないなどの理由から仕方なく新しく購入することになるそうです。
定期的に点検、メンテナンスをすることでトラブルや事故、無駄な出費を防ぎましょう。ここではエンジン式除雪機のメンテナンス方法を紹介いたします。
エンジンオイル交換
エンジンオイル交換サイクルの目安は2年に1回です。定期的に交換しましょう。メーカー推奨オイルを必ず使用してください。エンジンと外気の温度差が激しいため、結露が発生し、水分がエンジン内に溜まります。これがエンジンオイル劣化の主な原因です。
定期的にエンジオイルを交換しないと、エンジン内に溜まった水分とオイルが分離して水分が蒸発すること一緒にオイルも蒸発します。これを何年も何回も続けていると徐々にエンジンオイルが少なくなり、劣化も進むため、エンジンブローを起こします。
ガソリンを抜く
なぜシーズンオフにガソリンを抜いてタンクを空にしないといけないのか?ガソリンは長期間放置するとどんどん劣化してドロドロに固まってきます。
そのガソリンがパイプ、キャブレターを通ることによってガソリン詰まりを起こしてしまい、上手く空気と混合できずにエンジンが掛からなくなります。最悪オーバーホールをしなければいけなくなります。シーズンオフ、半年以上保管する場合は必ずガソリンタンクは空にしてください。
ガソリンの抜き方は簡単です。ガソリンタンクの燃料キャップを外し、ホームセンターなどに売っている灯油ポンプで抜き取った後、燃料キャップを閉めます。あとはパイプ、キャブレター内のガソリンを抜くためにエンジンをかけてガス欠でエンストするまで待ちます。
これでガソリン抜きは完了です。機種によっては燃料コックからキャブレターのガソリンを抜くことができますので、燃料コックの有無や使い方、場所などは取り扱い説明書をよく読んでください。
注意:作業するときは気化したガソリンンに引火する事故を防ぐため、風通しの良い広い場所で作業してください。また、抜き取ったガソリンは灯油タンクなどで分かるように保管してください。
JoyfulAKさんのyoutube動画から引用
ガソリンを抜く場面は0:30秒くらいで登場します。バッテリー交換の場面は1:50秒くらいで登場します。
安全ロックボルト交換
安全ロックボルトとは除雪部に付いているボルトで、除雪部分の歯車を衝撃から守るためにあります。
除雪作業中は柔らかい雪だけでなく固くしまった雪や凍った雪、折れた枝や空き缶、ペットボトル、石など固い物を歯車が巻き込みます。その際、歯車に衝撃が直接伝わらないようにこのボルトがクッションの役目をします。
そのため、このボルトはわざと折れやすく柔らかい材質が使われています。ですので、この部品は消耗品になりますので定期的に交換が必要です。
交換方法は、機種によって異なりますが、基本的にレンチ1本で簡単に交換できます。取り扱い説明書をよく読んで安全に作業してください。
※安全ロックボルトはメーカーによって「安全ピン」「安全ボルト」「ロックボルト」「ヒューズボルト」「シャーボルト」など呼び名が異なります。メーカーに聞いて頂くか、取り扱い説明書で確認してください。
バッテリー交換
エンジンが掛からない原因としてバッテリー上がりが結構多く、いざ使おうとしてもセルモーターも動かずピクリとも反応しなくて焦るということがあります。
バッテリーは微量ですが自然放電しています。オフシーズンに長期間保管しているとバッテリーが自然放電して蓄積している電気残量が少なくなり「バッテリー上がり」になります。
古いバッテリーは蓄積できる電気量が少なくなるため、長期保管している間にバッテリー残量が少なくなりがちです。バッテリーの交換時期は取り扱い説明書に書いてありますので、その期間を守って定期的に新しいバッテリーに交換してください。
バッテリー交換の場面はガソリンを抜く動画の1:50秒くらいで登場します。
プラグ交換
エンジンが掛からない、アイドリングでエンジンが止まるというトラブルの原因の1つに「プラグ」があります。ガソリンと空気の混合燃料にプラグのスパークで引火して爆発を起こしエンジンを動かします。
プラグのスパークが上手くいかないとエンジンが掛からなかったり、すぐにエンジンが止まるというトラブルになります。定期的にプラグを抜いてスパークの部分を点検するか、プラグ交換をしましょう。
プラグかぶりの対処法
オイル交換もガソリンも新しいのにエンジンの調子が悪いという場合は下記のことを行ってみてください。
- チョークを加減してみる
- プラグのスパーク部分にガソリンや煤(スス・カーボン)が付いていないか点検して綺麗にする
- プラグの交換
それでもエンジンが掛からない、調子が悪い場合はプラグがスパークしていない可能性があります。その場合は、プラグコードやディストリビューター、電気系統など別のトラブルかもしれませんので、修理依頼することをお勧めします。
稼働部分のメンテナンス
エンジン回りの点検、メンテナンスが終われば、最後はブレーキハンドルやローダー、シューターなどの稼働部分のメンテナンスです。ホームセンターに売っているクレ556などのシリコンスプレーを各稼働部分に吹き付けます。
これでシーズンオフに向けた除雪機のメンテナンスは終了です。防護カバーをかぶせて納屋などに保管しましょう。